昨今の観光施策において、「デスティネーション・マーケティング」という用語が注目を集めています。デスティネーション・マーケティングとは、旅行目的地を商品として捉え、最大の経済効果を生み出すために消費者のニーズを満たすことを目指して行われる誘客活動のことを指します。
今回は、「デスティネーション・マーケティングを意識した誘客活動」とはいったいどのようなものか、デジタルツールを用いた施策を前提として、ご紹介いたします。
デスティネーション・マーケティングの特徴
まず、デスティネーション・マーケティングの特徴からご説明します。従来の観光施策と大きく異なる点としては、「旅行者の購買行動をファネル分析し、各取り組みの成果分析を行うことで計画的な戦略を立てられる」ことが挙げられます。
ファネル分析とは?
ファネル分析…ファネルとは日本語で「漏斗(ろうと)」を差し、消費者が商品に対して購入に至るまでの意識遷移を図式化することをいいます。主に、「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」の3つの考え方がマーケティングにおいて用いられます。
本記事では、「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」の2つの特徴が組み合わさった「ダブルファネル」(図1)の考え方をもとに、旅行商品の購入をゴールとせず、実際に購入に至った消費者をファン化させ、情報発信につなげることで次の消費者の獲得を目指す観光施策を前提とします。
観光施策におけるデジタルマーケティングのよくある課題
近年観光施策でもデジタルマーケティングを積極的に行う企業・自治体が増える中で、明確な成果指標がない状態での正確な効果測定は難しく、課題としている方も少なくはありません。
「旅行者の誘客」を目標に定めてデジタルマーケティングに取り組んだ結果、実際に旅行者の数が増えたとします。しかし、その施策と成果の紐づけができなければ、施策の整合性を確かめる術がないため、今後の予算配分・方針の検討や、改善・検証を行うことも難しくなってしまいます。よって、「予算投資に対しての効果が見られない‥‥」「施策の方針が定まらない‥‥」などの課題を抱えることにつながるのです。
例えば、旅行者の誘客を成果指標に定めてWEBサイトを立ち上げる場合、重要になるのは先述した「施策と成果の紐づけ」の方法です。目的地のブランディングのためにWEBサイトのデザイン性や機能性を高めたとしても、実際にそれを理由に旅行者が増加したかどうかを測らなければ、予算投資をWEBサイトの改修や運用に向けていくことが正しいのかまではわかりません。
デスティネーション・マーケティングの活かし方
では、この場合にデスティネーション・マーケティングをどのように活かすことができるでしょうか。
今回の例では、まずマーケティングにおいて欠かすことのできない、消費者の購買プロセスのうち(本記事での購買は、「来訪」を指します)「認知」「興味・関心」「比較・検討」「来訪」においてどの項目を成果目標として定めるかが重要となります。
「認知」と「興味・関心」を成果目標として定めた場合には、アクセス解析ツールを用いたサイトユーザーの分析や、WEB広告を用いたサイトへの誘導を行うことが効果的なアプローチとして考えられます。サイトへのアクセス状況とWEB広告によるユーザー情報をクロスさせることで、WEBサイトによって「認知」「興味・関心」が広まったかどうかを「見える化」することが可能となりました。
WEBサイトを制作して終わりにするのではなく、その後のユーザーの動向や関心を検証することが、より効果的なデジタルマーケティングを可能とするのです。
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成果目標を明確化し戦略を考えることによって消費者のニーズを満たすとともに、最大の経済効果を生み出すことを目指す「デスティネーション・マーケティング」は、今後の観光事業において欠かすことはできない考え方であることがわかりますね。
「デスティネーション・マーケティングを意識したWEB広告の考え方」についてより深く説明する記事も更新予定です。ぜひ、ご覧ください!